今年で8回目を迎える「Max サマースクール・イン・藝大」では、「Maxと身体拡張」をテーマに掲げます。近年、自然言語処理を用いた生成AIの進歩は目覚ましく、将来的にはAGI(汎用人工知能)やロボットの発展も期待されています。また、テスラ社の脳波デバイスによる人間の脳とコンピューターを接続する試みや、AR/VR/XR技術の急速な進化も進んでいます。これらの技術とMaxの応用の可能性にも、今後ますます注目が集まるでしょう。同時に、例年通りMaxを初めて触る方のために、Maxのプログラミング自体を丁寧に解説するワークショップが開催されます。
本ワークショップでは、例年同様、Max初心者の方にも分かりやすく解説する講義を行います。ワークショップは 超初級・初級・中級・上級 の4つのレベルに分かれており、参加者それぞれの習熟度に応じてMaxをじっくり学ぶことを目的とします。また、技術的な解説だけでなく、Maxを用いて何ができるのか、どのようなパフォーマンスが可能か、またはどのようなサウンドが作れるのか といった実践的な知識も深めていきます。リアルタイムでのサウンド生成、映像、インスタレーションなど、Maxの多様な活用法について学ぶことができます。
講義では、ワークショップのために用意された実例をもとに、各自が持参したコンピューターで実際にプログラミングを行いながら学習を進めます。また、例年同様、Discordを活用し、チューターに個別質問をしながら復習や応用を学べる環境 も整備する予定です。
今年も、東京藝術大学千住キャンパスにて、対面とオンラインのハイブリッド形式で「Max サマースクール・イン・藝大」を開催いたします。さらに、都合が合わない方のために、アーカイブを好きな時間に視聴できるようにいたしました。
Maxを用いた表現では、センサーを活用して身体の動作を認識し、それを音楽や映像に応用する手法が広く行われています。また、ArduinoやRaspberry Piを組み合わせることで、Maxからモーターを制御し、ロボットを操作することも可能です。さらに、AIやOSCを介して他のデバイスと連携することで、新たな創作の可能性が広がります。
今年のテーマは、「Maxを活用して人間の身体機能を拡張できるのか?」という問いに焦点を当てます。テクノロジーを通じて人間の可能性を拡張する時代が到来しているのではないでしょうか。その実証の一環として、今年はロボットライド社のスケルトニクスを招き、身体拡張の試みに挑戦します。スケルトニクスは、人間がロボット内部に乗り込み、身体の動きで操縦できる装置です。この先進的な技術をMaxと組み合わせることで、新たな身体拡張の可能性を探求していきます。
その他のワークショップでは、近年話題となっているMax 9の新機能についても紹介します。Max 9では、AbletonのABLライブラリを基にした新しいオーディオオブジェクトが導入され、Ableton Live Suiteの人気デバイスの内部動作をパッチ可能なインターフェースで利用できるようになりました。さらに、テキストベースのコードとビジュアルパッチングの統合が強化され、特にJavaScript V8エンジンの完全な再設計により、最新の言語機能(ES6+)を活用した高速でモダンなコーディングが可能になりました。また、Jitterにも新機能が追加され、ビジュアル表現の幅がさらに広がっています。
Maxを用いて、具体的にどのような方法が実現できるのか、それを活用して何が可能になるのか、といった情報を共有できるワークショップは、これまで世界のどこでも開催されていない。今回のワークショップでは、これまでにない斬新なアイデアやワクワクするような内容が数多く飛び出すことでしょう。新たな手法を学び、自分の学校や職場に戻って友人や同僚に披露すれば、驚きの声が上がることは間違いないです。
さらに、あなた自身がMaxを駆使してステージに立つパフォーマーとなるきっかけになるかもしれません。Maxと組み合わせることで、これまで思いもよらなかった新たな発想が生まれることは間違いないでしょう。
Max (Max/MSP/Jitter)は、グラフィカルなインターフェースを備えたプログラム開発環境である。当初はコンピューター音楽の作曲のために開発されたが、その直感的な操作性と柔軟性から、リアルタイム音響合成やパフォーマンスのためのインタラクティブ・システムの構築にも広く活用されるようになりました。さらに、マルチメディア、映像、インターネットを用いたメディア・アート作品の制作にも利用され、多様な表現の可能性を広げています。
Maxは、フランス・パリにある音楽研究所IRCAM(Institut de Recherche et Coordination Acoustique/Musique)で開発され、その後、現在はアメリカ・カリフォルニアに拠点を置くCycling '74によって販売・開発が続けられています。
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秋山 大和
木石 岳
株式会社レイ 岩島伊織
田村瞳実
佐野風史